TANAKA DENSHI TWELVE #6

なぜ1番を目指すのか?
1番という称号が利益を連れてくる

「なぜ1番を目指すのか?
それは“1番しか選ばれない”から。」

「なぜ1番を目指すのか」。人は買い物でも仕事選びでも、無意識に“自分にとっての1番”だけを選んでいる──。気合いや根性の話というより、競争の中で生き残るために、なぜ1番が必要になるのかを整理していきます。

人は意思決定で「1番」しか選ばない

私が最初に言いたい結論はこれです。端的に言うと、人は意思決定の場面で1番しか選ばない

たとえばコンビニで緑茶を買うとします。「今日は緑茶の気分だな」と思って棚の前に立ったとき、人は無意識に自分の基準を当てはめて、いちばんしっくり来る1本を選びます。

「痩せそうなやつがいいな」と思えば、その条件に合う中で一番欲しいものを取る。逆に「1番気になったのはこっちだけど、2番目に気になった方を買おう」とはならない。感覚的にも、そういう選び方はしないですよね。

自分の中の基準で、その瞬間の1番を必ず選んでいる。私はここが競争の出発点だと思っています。

「1番の要素」を増やし続けないと
選ばれない

1番といっても、要素は人によって全然違います。

近さが大事な人もいれば、対応の良さが大事な人もいる。駐車場の広さや、店内の雰囲気、スピード感など、基準はバラバラです。

でも、どんな基準であれ、その人の中で1番にならない限り、そもそも選ばれない。だからこそ、ビジネスとしては「1番の要素」を増やし続ける必要がある、という話になります。

1番がブランド化する瞬間

ここからは、私たちの商売に寄せて話します。

販売代理店の立場で考えると、キャリアさんが各地域で「2番目に売る代理店に多くの仕事を渡そう」と考えるか。普通はそうならないですよね。まず1番の会社に任せる。

そして、あるタイミングから「1番だからあそこに頼もう」が、考えなくても出てくるようになる。これが、1番がブランド化する瞬間です。

マヨネーズで、メーカーの酸味やキレを毎回比較して買ってる人は多くない。そういう世界になると、意思決定が一気にシンプルになります。1番は、その“選ばれる手間”まで奪えるんです。

市場が縮むほど上位に集約される

もうひとつ、私が強く意識している前提があります。日本は人口が減っていくので、国内市場は基本的に縮みます。
縮小市場では、プレイヤーが減って、上位に集約されやすい。例としてコンビニを考えると分かりやすいです。名前がすぐ出てくるのは上位の数社だけで、それ以外は急に思い出しにくくなる。スマホメーカーも同じで、昔はいろいろありましたが、今はプレイヤーが明らかに減っています。

私はこれを「特定業界の話」ではなく、国内産業に広く起きる流れとして見ています。だから、縮む世界で絶対的なポジションを取るなら、上位、もっと言えば1番を狙う以外にない。

田中電子の「1番」は何から取るのか

1番を取る、と言っても「誰にとっての1番か」で中身が変わります。社員にとっての1番、キャリアさんにとっての1番、エンドユーザーにとっての1番。全部違う。

その中で、私が優先順位として先に置くのは「社員にとって、この業界で働くなら田中電子が1番だ」と思ってもらえることです。

なぜなら、人がいないと成り立たないビジネスを私たちはしているから。ここが満たされないと、キャリアさんにもエンドユーザーにも価値を出しきれない。私はそう考えています。

社員にとっての1番を、
まず「年収」で具体化

社員にとっての「働きやすさ」や「居心地の良さ」も大事です。ただ、1番を作るうえで、共通指標として語りやすいものが必要になります。

そこで私が明確に掲げているのが、報酬です。

これは「お金だけが全て」という話ではありません。心も大事だし、組織として良くなるために何をするかも大事。ただ経営者としては、社員に対してはまず金が先だ、という順番を取るべきだと私は思っています。

そのうえで私はこう言っています。

この業界の中で、年収ナンバーワンの会社をつくる

プレイヤー(ショップスタッフ)でも年収1000万円を実現できる形にする店長やマネージャーが部下を持って1000万円、という世界はすでにある。でも私は、プレイヤーでも1000万円を狙える業界にしたい。通信キャリアショップは人数が多く、1人あたりに割り戻せる利益が薄くなりがちだからこそ、骨組みから作り直さないといけない。ここを本気でやる、という話です。

経営者として、お金を一番に語る覚悟

経営者がお金の話をすると、生々しく聞こえるのは分かっています。でも、社員側の立場からすると、そこをぼかされる方が不安になる。

「業界年収日本一を目指す」と聞くのは、嫌な話じゃない。むしろ目指そう、になりますよね。衣食足りて礼節を知る、という話も出ましたが、順番はやっぱり大事だと私は思っています。

だから評価制度にもこだわる。お金をどう配るかにこだわるなら、評価にこだわらないといけない。ここは全部つながっている、という考え方です。

社員起点で一番の循環をつくる

社員にとっての1番が実現できると、社員が頑張れる土台が強くなる。結果として競争力が上がり、キャリアさんにも価値が返る。エンドユーザーにも価値が返る。

利益が残れば再配分できて、さらに強くなる。価値が勝ちを呼び、勝ちがブランドを呼ぶ。そうして「無条件で田中電子に頼むべき」という状態まで持っていきたい。

その最初の優先順位として、社員の年収を上げる。私はそこから入る、という話でした。

話し手

田中 秀司

田中電子株式会社 代表取締役社長

1990年生まれ。田中電子の二代目社長。27歳で社長就任後、第二創業期を牽引し、46店舗まで事業を拡大。創業40年以上の歴史と若い価値観を融合させ、通信キャリアショップ代理店として日本一を目指す。

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