TANAKA DENSHI TWELVE #7

人生を俯瞰できるか。ポケモンが教えてくれたマネジメントの本質。

「ゲームは上から見てるから
視野が広い」

初代ポケモンの記憶から最新作まで。子ども時代の絶望と興奮を語りながら、仕事に置き換わる“気づき”を深掘りします。環境のせいにしない姿勢、仲間の必要性、俯瞰で状況を見る視点。ゲームの中に詰まっていた、シンプルで強い成長の原理を語りました。

ポケモンに気付かされた
自身のアップデートの必要性

私が最初に言いたい結論はこれです。端的に言うと、人は意思決定の場面で1番しか選ばない

たとえばコンビニで緑茶を買うとします。「今日は緑茶の気分だな」と思って棚の前に立ったとき、人は無意識に自分の基準を当てはめて、いちばんしっくり来る1本を選びます。

「痩せそうなやつがいいな」と思えば、その条件に合う中で一番欲しいものを取る。逆に「1番気になったのはこっちだけど、2番目に気になった方を買おう」とはならない。感覚的にも、そういう選び方はしないですよね。

自分の中の基準で、その瞬間の1番を必ず選んでいる。私はここが競争の出発点だと思っています。

赤緑が仕事の例えとして強すぎる

僕は仕事の会話でも、ポケモンの例えをけっこう使います。なぜかというと、例えやすいんですよね。

例えば、早く育つポケモンって、意外と弱かったりするじゃないですか。虫タイプが分かりやすいですけど、序盤は一気に強くなるのに、先の伸びしろが早く頭打ちになる。一方で、カイリューみたいに育成は大変だけど、完成したらとんでもなく強い。こういう話って、人の育成や成長の話にそのまま置き換えられます。

僕らは仕事で「成長が早い」とか「伸びる」とか言いますけど、成長の形は一つじゃないんですよね。短距離で伸びるタイプもいれば、時間はかかるけど強くなるタイプもいる。ポケモンはそれを、子どもの頃から体感として教えてくれるゲームだと思います。

バッジの仕組みで知った
世の中のルール

もう一つ、ポケモンがよくできていると思うのが、バッジの仕組みです。バッジの数に応じて、言うことを聞くポケモンのレベルが変わる。あれ、今考えると本当に秀逸です。

要するに、自分がどれくらいの存在に見えているかで、相手の反応が変わるんですよね。バッジって目に見える指標だから分かりやすい。経験を積んでジムリーダーを倒してバッジを取る。そうすると、言うことを聞く範囲が広がっていく。世の中も似たような部分があると思います。

子どもの頃は気にしていなかったけど、大人になって振り返ると「こういう仕組みをゲームに入れて流行らせたのはすごいな」と思います。

プレイ時間が長いだけでは
強くならないという現実

仕事でよく話すのが、労働時間と仕事の成果はイコールじゃない、ということです。これもポケモンで例えると分かりやすいんですよね。

電源をつけっぱなしにしていれば、プレイ時間は伸びます。でも、強くなるのは経験値を積んだ分だけです。どれだけ戦ったか、どれだけ工夫して進めたかで、成長が決まる。プレイ時間が長いこと自体は指標になるけど、それだけで強さは測れない。

だから、仕事でも「時間をかけた」だけで満足しない方がいい。成果や成長につながる経験値をちゃんと積めているかを見た方がいい。そういう話を、ポケモンはすごく分かりやすく教えてくれると思います。

最初の選択には戻れない、
だからこそ前に進むしかない

赤緑って、最初の3匹を選んだら基本戻れないじゃないですか。しかも序盤にタケシ、次にカスミが出てくる。あれ、普通に絶望するんですよ。ヒトカゲを選ぶと、なおさらきつい。僕も当時、きついなと思いました。

でも、ゲームをやっていて「環境が悪い」とか「最初の選択が終わってる」とか言って投げるかというと、投げないんですよね。じゃあどうするかを考える。レベルを上げる。仲間を増やす。情報を集める。とにかく前に進む。
僕が社内でよく言う言葉に「人のせい、過去のせい、環境のせいにしないようにしよう」というものがあります。説教っぽく聞こえるかもしれないけど、ビジネスってそうだと思っているんです。

不思議なのは、ゲームをやっている時って小学生でも当たり前にそれができるのに、大人になって当事者になると急にできなくなることです。人のせいにしたり、環境のせいにしたり、過去のせいにしたりする。でも、ポケモンで詰んだ時に「クソゲーだ」と投げるより、どう突破するかを考える方が合理的ですよね。人生も本来は同じだと思います。

俯瞰できるのがゲーム
当事者なのが人生

ゲームって、上から見ているから冷静に判断できるんですよね。ヒトカゲ目線じゃなくて、プレイヤー目線で見ている。だから「ひのこが効かない」なんて言っている場合じゃなくて、戦わせ方を変えるか、仲間を入れ替えるか、育て方を変えるか、という判断ができる。

でも人生は当事者です。自分がその中にいるから、上から見づらい。だから意識的に、自分を俯瞰する必要があると思います。目の前で壁にぶつかった時に、感情だけで「無理だ」と決めるんじゃなくて、どうすれば突破できるかを考える。その姿勢が、結局は一番強いと思っています。

子どもができて
マネジメントの見方が変わった

子どもを見ていると「できない」には理由がいくつもあるんだと分かります。本当に分からないのか、やる気がないのか、元気がないのか、状況が整っていないのか。できないという事実だけを見て「なんでできないんだ」と決めつけるのは違うなと思うようになりました。

それって社員に対しても同じで、できない理由を分解して見られるようになると、マネジメントも変わります。ゲームやアニメは、そういうことを分かりやすく伝えるための方便が詰まっている。僕は最近、改めてそう感じています。

雑談のようで雑談じゃない回

今回は、本当に雑談でした。赤緑や金銀をやっていない人には伝わりづらい部分もあると思います。でも、壁が出てくること、絶望すること、その中でどう前に進むかを考えること。そういう姿勢は、仕事にも人生にもつながると思っています。

ポケモンをやり直して、ゲームの進化に驚いて、子どもたちの適応力に感心して、自分もアップデートしなきゃと思った。フリートーク回でしたけど、結果として学びの多い回になったんじゃないかなと思います。

話し手

田中 秀司

田中電子株式会社 代表取締役社長

1990年生まれ。田中電子の二代目社長。27歳で社長就任後、第二創業期を牽引し、46店舗まで事業を拡大。創業40年以上の歴史と若い価値観を融合させ、通信キャリアショップ代理店として日本一を目指す。

社長の話をもっと見る

社長の本音。