TANAKA DENSHI TWELVE #4

この業界、大正解だぜ。最強のインフラ産業「携帯電話業界」の本質

私がなぜ「この業界を選んで正解だ」と言い切れるのか

今回は、私が「この業界を選んでいるのは大正解だ」と断言する理由を、できるだけロジカルに整理してお話しします。通信キャリアショップの社長がそう言うと、どうしてもポジショントークに聞こえるかもしれません。だからこそ私は、感情よりも先に「なぜそう言えるのか」を言葉にしておきたいと思っています。
田中電子が歩んできた“数から質への転換”の物語。

人口が減る日本で
仕事選びの前提はもう変わっている

まず大前提として、日本はこれから人口が減っていきます。これはもう事実です。

ここで私が大事だと思うのは、私たちの価値観や判断軸がつくられてきた時代には、人口がまだ減っていなかったということです。私たちが教育を受けてきた頃、日本はバブル崩壊後とはいえ、経済規模が大きく、人口も1億2000万人規模で、まだ「強い国」でした。

だから、親世代や先生世代が言ってきた「勉強していい学校へ行き、いい会社に入る」「公務員や国家資格で手に職をつける」という考え方は、その時代においては正解だったと思います。

さらに上の世代、祖父母世代は高度経済成長期です。あの時代は国全体が伸びていました。だから「石の上にも三年」「人に迷惑をかけない」「コツコツ頑張る」という価値観も、その時代背景では正しかったはずです。

ただ、人口減少社会をどう生きるかについては、私たちは十分に教わってきていません。だからこそ、これからは自分の頭で「どの業界を選ぶべきか」を考えないといけないと私は思っています。

携帯電話業界は「なくならない産業」

人口が減るということは、国内市場が基本的に縮んでいくということです。

だから私はまず、職業選択の基準として「なくならない産業を選ぶべきだ」と考えています。

その代表がインフラとライフラインです。電気、水道、そして現代の最新インフラとしての通信です。これらがなくなったら、国家としてそもそも成り立ちません。

もうひとつポイントがあります。ライフラインは安全保障の観点からも国家に近い領域になりやすいということです。国がこだわりたがる分野だという言い方でもいいかもしれません。

だからこそ、日本語で仕事を続けられる可能性が高いという見方もできます。上位ポジションを狙えるかどうかという意味でも、これは小さくない要素だと思っています。

通信は個人に紐づく稼げる基盤インフラ

次に私は「稼げるかどうか」を考えます。稼ぐかどうかを語るのが生々しく聞こえることも分かっていますが、仕事をする以上、ここを無視する方が不自然だと私は思っています。

稼ぐという観点では、業界の経済規模を見た方がいいです。電気や水道と比べても、通信は圧倒的にお金が回っています。しかも携帯電話は、インフラの中でも珍しく「個人に紐づくインフラ」です。家ではなく人に紐づいている。だからこそ市場が大きくなりやすい。

人口が減るから通信も縮む、という見方はもちろんあります。ただ、少なくとも私たちが生きている間に、国内産業としての価値がほぼなくなるほど消滅するとは考えにくい。私はそう見ています。

進化が止まらない世界で
営業という役割は消えない

ここが私の中では大きいところです。通信の世界は、絶対に進化し続けます。

今は5Gです。その前は4Gでした。大事なのは、ユーザーが「欲しい」と言うから進化しているわけではないという点です。もちろん需要はありますが、構造としては「進化し続ける運命にある世界」なんです。

その理由のひとつとして、私は軍事技術としての側面も大きいと思っています。6Gの開発も進んでいますし、大量のお金が投下されて、進化しないわけがありません。

そうなると何が起きるか。進化したものを、使ってもらわないといけない。ユーザーが欲しいから進化するわけではないなら、進化した後に「どう使うのか」「どれが合うのか」を伝える必要が出てきます。

だから営業が必要であり続けるんです。

電気やガスや水道は、契約した記憶が薄い人も多いはずです。家に紐づいていて、仕組みが大きく変わることも少ない。一方で携帯は、毎日使い、お金もかかり、容量の悩みも出る。しかも複雑で分かりにくい。だから「誰かに聞きたい」が必ず発生します。

分からないものをネットだけで買えるわけがない。私はそう思っています。だから、リアルの接点も営業も残り続ける。オンライン比率が広がることはあっても、ゼロにはならないという見立てです。

日本国内で強い産業だという事実

私は毎年、国内企業の営業利益トップ10を見ています。その中に、3キャリアはずっと入っています。

他の大企業が世界市場で利益を積み上げる中で、通信は日本の人口を相手にして、その規模感を成立させている。これは強いです。

さらに、一時期「料金を下げろ」と国が言えるほど、社会に対する影響力が大きい業界でもあります。私は良し悪しを論じたいわけではなく、それだけ国家に近い領域だという事実として捉えています。

また、第4のキャリアが認められた以上、国としては競争を維持する設計を続けるはずです。どこか一社が独占する構造には、国はしない。私はそう見ています。未来の話なので断定はできませんが、競争があるからこそ業界が健全に進む、という方向性は変わらないと思います。

だからこの業界は現実的に「強い」

まとめると、私が携帯電話業界を最高だと思う理由はこうです。

  • ・なくならないインフラであること
  • ・インフラの中でも経済規模が大きいこと
  • ・進化し続ける構造があること
  • ・複雑で分かりにくいから営業が必要であり続けること
  • ・日本国内だけでも強い産業であること

キラキラした言い方が苦手なので、私はこういう現実的な言葉でしか語れません。ただ、現実を前提に選ぶなら、この業界はかなり妥当で、むしろ強い。私は心からそう思っています。

話し手

田中 秀司

田中電子株式会社 代表取締役社長

1990年生まれ。田中電子の二代目社長。27歳で社長就任後、第二創業期を牽引し、46店舗まで事業を拡大。創業40年以上の歴史と若い価値観を融合させ、通信キャリアショップ代理店として日本一を目指す。

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